大正から昭和へ時代が移り変わる頃の話。
私には三つ歳が離れた姉がいました。姉はとても賢く、外国の言語で話ができるほどの才がありました。そういった中でも本当に恵まれていたのは、裁縫と刺繍の才です。
私も姉も幼い時から刺繍を習っていましたが、姉は私とは違ってとても繊細な出来栄えの作品を作るのです。自分の作品と比べては、その違いをよくうらやんだものでした。姉は、「布を裁断する場所が分かれば、切ったり縫い合わせたりをしなくとも完成する型が頭の中に浮かんでくる」とおっしゃっていました。
刺繍絵画というものがあり、姉はそういった作品を作るよう依頼されることもありました。外国の言語を話すことができたということもあり、海外の方が集まる会に出席をする為に、関東方面、東京に行かれることもありました。
そこで姉は、とある男性とお知り合いになる機会があったそうです。ステンドグラスという、海外から取り入れた技術であるガラスの工芸品を制作される方でした。二人とも同じように物づくりを行っていることもあり、お互いに心が通じ合う点があったのでしょう。それからは文通を通してやり取りをする姿を目にすることもありました。二人が直接お会いできたのはその海外の方が集まる会のみだったようで、姉はその会に向かわれる前夜はとても楽しみにされていたものです。
現在、姉が亡くなってからおよそ3年の月日が経とうとしています。私も姉の享年と同じ年齢になろうとしています。元号が変わろうとしている今、私も以前に比べると心の整理がついてきたので、手つかずのままであった姉の部屋の遺品を整理することにしました。
その最中のことです。あの時のお相手とのやり取りの物でしょう。何通もの手紙に加えて、それとは別に、大事そうに仕舞われていた手紙と一枚の布、それと彼が作ったであろう、箱に収まる程の小さなステンドグラスの作品が数枚出てまいりました。いけないとは思いつつも、どうしても気持ちに整理を付けたかった私は心の中でお相手の方と姉に一礼して、その手紙を読ませて頂くことにしました。
拝啓 絹川ハル 様
桜の見ごろが近づいてきましたね。
先日は東京の観光を君と一緒にすることができてとても楽しかったです。次に会うのは、会が予定されている九月の初旬になりますね。残暑の季節になるので、お互い体調の管理を怠らないように作品作りをしていきましょう。
話は変わりますが、以前お話していたように私は八月まで米国に行き、本格的にステンドグラス作りの勉強をすることになりました。今のように文通をすることも叶わなくなってしまいます。なのでその前に、私の気持ちを一枚の布と手紙に残すことにしました。少々の遊び心も取り入れています。用意した問題を解くことで、手紙の内容を解読できるようにしました。
遊びの手順は、
➀五問の問題を解く。
➁答えが分かったら、問題の枠と同じ色の枠が手紙にあるので、答えになった文字を消す。
➂全ての答えを正しく消すことで、あなたがとるべき行動が明らかになる。
といったものです。ぜひ、楽しんでください。
箱から出てきたステンドグラス作品
解答を入力
ヒントは以下に記載しています。
“句”、“術”の問題のヒント
“灰”色の“句”が「俳句」を示しています。それでは、“黄”色の“術”では何を示すかを考えてみましょう。
答え:きじゅつ(奇術)
(解説:“き”色の“術”なので、「きじゅつ」となります)
赤・青・緑の矢印の問題のヒント
それぞれの色の矢印をたどると、黒枠のマスの中を三つずつたどります。赤い矢印は「世界」、青い矢印は「時間」、緑の矢印は「繊維」を示しています。矢印がたどった順にひらがなに変換したそれぞれの言葉を入れると…?
答え:じんせいかん(人生観)
(解説:青い矢印がたどる順にマスの中に「じ、か、ん」が入ります。赤い矢印は「せ、か、い」、緑の矢印は「せ、ん、い」、とイラストを示す文字がそれぞれに入ることが分かります。)
家が描かれた問題のヒント
青い矢印は家から出かける様子、赤い矢印は家に帰った様子を示しています。赤と青の吹き出しには、それぞれの色に対応する“あいさつの言葉”が入ります。
答え:いただきます
(解説:青い吹き出しには「いってきます」、赤い吹き出しには「ただいま」が入ります。それぞれの言葉から、答えに対応する文字を抜き出すと「いただきます」となります。)
トランプが描かれた問題のヒント
上のイラストは左から順に、“ハート”の“1”が「ハ」、“ダイヤ”の“2”が「イ」、“クラブ”の“2”が「ラ」、“ダイヤ”の“2”が「イ」、“ハート”の“3”が「ト」を示しており、左から読むと「ハイライト」になります。この法則を下のイラストに当てはめてみましょう。
答え:ストーブ
(解説:トランプのマークに対して、何番目を読むかを数字が表しています。左から、“スペード”の1文字目、“ハート”の3文字目、“スペード”の3文字目、“クラブ”の3文字目を読むと「ストーブ」となります。ちなみに、例が「ハイライト」となっていることから、「クローバー」はなく「クラブ」と読むことが分かります。)
ライト・ヘビーの問題のヒント
紫色の矢印は矢印の前に書かれた文字を“反対の意味にする”法則があり、灰色の矢印は矢印の前に書かれた文字の“濁点をなくす”法則を持っています。これに合わせて、グッドを変換していきましょう。
答え:ハット
(解説:「グッド」は紫色の矢印の法則により「バッド」になり、さらに「バッド」は灰色の矢印の法則によって「ハット」となります。)
五つの問題の答えが分かったが、何をしたらいいのかが分からない
まずは、手紙に書かれた“遊びの手順”を読み返してみましょう。
問題と同じ色の枠を掲載ページの手紙の中から探して、答えに対応する文字を消していきましょう。
問題に対応する手紙の中の文字を消すと、右から順に「あかとあおの(赤と青の)」「ここのつのかけら(九つの欠片)」「ばーど(バード)」「ぶらっく(ブラック)」「うえから(上から)」となります。これにしたがった行動をとりましょう。
1ページ目<姉の部屋で見つけた一枚の布>を指示に従って切り取ると、九つのピースが現れます。(下の画像の青線と赤線に囲われた部分が切り取られます)
指示された作品を作ることができない
まずは、「バード」が何を指しているのかを突き止める必要があります。ステンドグラスの作品のタイトルを確認してみましょう。
九つの欠片を使ってステンドグラスの「バード」を作る際に、よく見ると、緑、水色のサークルは大きく、紫、橙色のサークルは小さく記されています。
一部は下図のようになります。
さらに、一部は下図のようになります。
答え:LIKE
九つの欠片を使って「バード」を作ると、下図の通りの形となります。
指示通り、ブラック(黒色)の矢印を上から読むと、「LIKE」の4文字が現れます。